今日から何度かは、モデル時代の思い出を綴ろうと思う。
もう辞めてから5年以上経つけれど、モデルをしていた時期がある。一番初めは元モデルの社長が立ち上げたばかりの事務所に入った。事務所に所属しているというと、一般に「じゃあ事務所が仕事をくれるんだよね。」と言われる。しかしこれは誤解である。まれにそういうケースもあるかもしれないが、実際は異なる。基本的にモデルは、オーディションに受からない限り仕事はもらえないのだ。
モデルが撮影なりショーなりの仕事を受けるまでの仕組みは、例えばこんな感じ。①クライアント会社が自社商品のPRにポスターを作りたいと思う、②モデル事務所やエージェンシーに「こういう(タイプ、体型、年齢層の)モデルを必要としていますので」とオーディションの案内をする、③各事務所からクライアント会社の希望に沿ったモデルがオーディションを受けに行く、④合格通知が来る、⑤撮影(仕事)が始まる、という流れ。
が、オーディションの日が前もって知らされることは殆どない。大抵はマネージャーから急に連絡が入る。「Y、明日朝10時、株式会社××様が電化製品△△のパンフレット撮影のオーディションをされるけれど、あなた行ける?」と。こんなことが、多ければ週に数回ある。ハッキリ言って、フルタイムで仕事をしていたらまず無理な生活であろう。実際、同じ事務所の同期モデルたちは(新設の事務所だったのでほとんどが同期)、学生だったり、時間に融通の利く仕事をしてたりの者が多かった。モデルの仕事1本で働いている者は一人もいなかったが、どこの事務所のモデルも似たりよったりであった。
オーディションの辛いところは、頑張って会場まで出かけても(大抵はクライアントの会社)、合格に結びつかないことが多いということ。また交通費は全て自費である。オーディション自体は仕事ではないので当たり前だが、これが地味に辛い。また、オーディションはクライアントから出される条件を全てクリアする必要がある。「足の形が分かるスカートで来てください。」「テスト撮影をしますので商品のイメージに近い華やかな格好で来てください。」「黒い服と白い服、パンプスも白黒2足を持って来ること。あればベージュも。」など、様々な条件がある。それ、持っていません、なんてことはプロとして許されない。だから必要な物は全て、伝えられたのが例え前日の夜中であっても完璧に揃え、翌日のオーディションに向かった。
前述の通り、合格しない限り仕事はなく、出費だけが嵩むことになる。私たちはこれを「オーディション貧乏」と密かに呼んだ。
次回はモデルに必須の「7つ道具」について。
(続く)
Be ambitious, boys and girls!
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