男子学生の社交クラブはフラタニティ、女子学生の社交クラブはソロリティという。簡単に言えば非常に結束の固い部活動のようなものだろうか。誰でも入れるわけでないところが部活動との大きな違いだ。程度の差はあるが、入会には条件が伴う。会員たちに認められたら仲間に入れるクラブ、審査が必要なクラブ、準備期間(仮入会)を経て会員になれるクラブ、また現会員から直々に「入会しないか?」というオファーがないと入れないクラブもある。
私の通ったN大学には、フラタニティとソロリティ合わせて10の社交クラブがあった。ある日、キャンパスの私の郵便私書箱(学生は皆一人一つ所有していた)に見覚えのない白い封筒が入っている。開いてみると、何かの招待状?のようだ。差出人は、えっと、・・・ベタベタ、シ・・・グマ?誰だろう、これ。
ティナが言うには、ソロリティはステータスだそうだ。キャンパスライフをエンジョイ出来るかどうかは、これで大きく変わるのよ。せっかく招待状を貰ったのだから、しかもN大でダントツにクールなBeta Beta Sigmaからだよ!、絶対に絶対に認められて入会しなくちゃね。と、意気込む。
興奮のあまり早口になるティナに圧倒されて私は「そうなんだ」としか言えなかったけど、とにかくソロリティとやらはなんだかすごいものだということだけは理解した。しかし、ちょっとひっかかったことがあり、聞いてみる。「ティナ、入会は誰かに認められる必要があるの?希望すれば入れるものじゃないの?」「Nooooo, とんでもない。」
こうして私は翌週月曜日の午後7時、大学の音楽室に向かった。イニシエーションとやらに参加するために。
(続く)
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