『しんゆう』という言葉には色んな漢字があてはまる、と最近聞いた。
教えてくれたのは、チョッピー先輩と呼んでいる人。私にとっては友人というよりむしろ「メンター」に近い。仕事のジャンルが近く、数年ほど先輩だということもあり、しばしば相談に乗ってもらっている。かつてミュージカル出演をしていた頃の仲間だから、出会ってより20年近く経つ。私が悩む時に、思いもつかない意外な考えや解決のヒントをくれる、貴重で有り難い存在だ。だから、尊敬を込めて、私はその人をチョッピー「先輩」と呼ぶ。
※「チョッピー」は名前をもじったニックネーム
先日久しぶりにゆっくり話す機会があった時、先輩はちょっとユニークなことを教えてくれた。今日ここで、ぜひ紹介したい。
彼いわく、
「『しんゆう』って言葉には、色んな漢字が当てはめられるんだよ。」
とのことだった。
どういう意味ですか?と尋ねる私に、
「普通は親しい友で『親友』と書く。だけど『しん』という漢字って、たくさんあるだろう?だから、親しい友、以外の『しんゆう』があってもいいのではないだろうか。」
と答えてくれた。
そういうことか。へぇ、面白い。
思い当たった私は、ひとりの友人のことを伝えた。彼女のことを随分前から『心友』と呼んでいることについて。共にさまざまな困難を乗り越えてきた友人なので、互いを心の友、つまり『心友』と言うようになったんです、と先輩に話す。
「心の友で、『心友』か。いいよね。」
他にどんな『しんゆう』がありますか?との問いかけに、先輩は答えてくれた。
「例えば、『信じる』と書く、『信友』とかね。あるいは、『深い』と書く、『深友』もいいのではないだろうか。」
信頼できる友、で信友。
深く分かり合える友、で深友。
呼び名に似合う、友人たちの顔がチラリと見え隠れするような気がした。
素早くスマホで検索した私は、いくつかの漢字を挙げてみる。じゃあさ、こんなのはどうでしょう?
芯のある友で、芯友とか。
紳士的な友だから、紳友とか!
チョッピー先輩はわずかに眉を寄せた。
「Yちゃん。友人関係というものは2人がいて成り立つものだろう?互いが信じ合えるとか、互いに深く話せるとか、2人の間柄を表す意味の漢字なら相応しい。だけど、芯があるとか紳士的だとかは、個人を称する言葉であって、少し違うのではないかな。」
だそうだ。なるほど、『しん』であればなんでも良いというものでもないらしい。
じゃあ、と紙に書き出してみた。
親しい友の、親友。
心の友で、心友。
信じ頼れる、信友。
深く分かち合える、深友。
共に伸びてゆく、伸友。
一緒に前に進んで行ける、進友。
新しくできた新友。森で出会った森友。ピリッと辛口の辛友。などはどう?「それはネタ枠だね。」ふむ、やはりか。
人生に1人でも『しんゆう』と呼べる人がいることは本当に素晴らしい。様々な漢字を当てはめてみることで、『しんゆう』の定義とその価値を改めて知ったような気がした。
チョッピー先輩に聞いてみる。
「先輩なら、どの漢字が好きですか?」
「僕は、真(まこと)の友と書く『真友』が好きだなぁ。」
真実の友、か。それもいい。
いつか、先輩に『真友』と言われるに相応しい、友人になりたいと心の内でちょっと願った。
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