我が三大辛味体験記②

三大辛味体験の二つ目は、数年前。

その頃関わっていた短期の仕事で仲良くなった人がいた。彼女、Nちゃんとは「スパイシーフードが好き。」という点で話が合い、「激辛鍋を食べに行こう!」と約束するに至った。


選んだのは鍋料理を食べられるお店、鍋のだし汁の辛さを選べる。辛さレベル0は普通のだし汁。レベル1から少しずつスパイスが加わる。レベル2はピリ辛、レベル5は激辛、確か20くらいまで段階があったように思う。レベル20は憧れの境地だった。当時時々訪れた鍋料理店だったが、私が「食べてみたい」と思うレベルに合わせてくれる人は皆無だった。だから、Nちゃんが「私、相当辛いのは強いよ!」と言ってくれた時は頼もしく感じた。私たちはいろいろ考えた末、辛さレベル16を選んだ。いやもう、普通に生活していたら、自分たちの周りにこのレベルを選ぶ人はまずいないよね、次回はレベル20にしようね、と2人で盛り上がった。


鍋料理が運ばれてきた。鍋は真っ赤な液体がグツグツと地獄の池のように煮立っている(賛辞)。辛味が苦手な人なら見れば泣き出しそうな光景であろう。私たちは互いの仕事の話や家族のことなどを話しながら仲良く鍋をつついたのであった。美味しかった。

翌日Nちゃんからメールが入った。今日は仕事を休むという。なにかあったの?大丈夫?と尋ねた私に、Nちゃんはものすごく言いにくそうに教えてくれた。実は昨日うちに帰ってからお腹が痛み出してさ‥。どうやら刺激が強すぎたようだ。私はびっくりして、気の毒になって、そして大いに反省した。幸い半日ほど休んでいるうちに、痛みは消えたらしい。決して自分のせいだけではないのだけど、その日一日ずっと私はNちゃんへの申し訳なさでいっぱいだった。本当にごめん。辛味体験中、申し訳なさナンバーワンの思い出。


かの店でレベル20を達成する日は遙か遠い。

(続く)

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現役英語講師の頭の中。