高校2年の夏休み期間に隣町の中華料理店でと、ファミレス「S」での半年と2回。最終的にはそれなりにこなしていたが、残念ながらいずれも仕事を楽しむまでは至れなかった。
ひとつの理由には、私はスピードを要求される仕事が比較的苦手だということ。レストランは、とにかく出来るだけ早く食事を提供せねばない。緊張した状況下で、さらにイレギュラーなお客様のご要望が容赦なくウエイトレスの身に降りかかる。例えば子供が床にうどんをこぼしちゃったので掃除したいから雑巾貸してくださいとか、トイレが汚れていたからすぐに綺麗にしてくださいとか、あっちのグループが騒がしいので席を移動したいんですとか、デザートはチョコレートだけ抜いてもらえませんか、とか。それはもう多岐にわたる。もちろんどの要求も退けるべきではない。せっかく食事にいらしてくださっているのだから、お客様には快適に過ごしてもらいたい。ただ、自分は目の前のことをひとつひとつ丁寧にこなしたいと思う性格なので、頼まれた物事を一斉に捌くことは、最後まで難しいと感じられた。
「S」での決定的な大失敗を記す。
「グラス割れ事件」の数週間後、私は「S」でのアルバイトを辞めた。隣町の習い事の教室で新しく講師の仕事が決まったのが主な理由だけれど、ホッとした。というか、こんなに失敗ばかりするバイトをよくぞ数ヶ月間も雇ってくれたなと思う。寛大なファミレスだ(実はここは今もお気に入りでたまに訪れる)。
Be ambitious, boys and girls!
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