パリのシャンゼリゼ通りへ行こうか

年に2回、パリに出かける。


というのは例えなのだが、私は春と秋にクローゼットの「総入れ換えイベント」を行う。来るべき季節に合わせて、持っている服の薄さと色を揃えなおすのだ。ベーシックな服ばかりではなく、その季節しか着ない服を久々に取り出すのも楽しいし、無駄がないようにチェックしながらトレンド服を買い足す計画もワクワクする。その大掛かりな衣替えを「パリへ行く。」と言い出してより10年以上が経つ。今年も二度目の家庭内シャンゼリゼ大通りを歩く時期が来た。


学生時代、私服になることが嫌だった。単純に何を着ればいいのか分からなかったのだ。だから高校の文化祭の後などでクラスメートたちが「日曜にクラスみんなで集まって打ち上げしよ!。」などと提案してくる時には、欠席の理由を探したものだ。お洒落に自信のない自分が私服で恥ずかしい思いをするのが怖かったのだ。が、今なら言える。誰も人の恰好なんて気にしちゃいない。むしろ派手な子もおとなしい子も、おそらく当時の私と同じように「浮かないだろうか、ダサくないだろうか?」と周囲を気にしていたに違いないのだから。当時の私が今目の前にいるのなら、他人の目など気にせず、胸を張ってあなたはあなたらしく居ればいい、と言ってやりたいと心から思う。


話しが逸れた。


今、私はファッションが大好きである。コンプレックスがもたらした執念からファッション雑誌を毎月3冊は読み続けたことが功を奏したのかもしれないし、大人になってから事務所に入り、モデルの仕事を10年ほど経験したことが役に立ったのかもしれないし、暇さえあればモールに出かけて延々とウィンドウショッピングをし続けたことが生きたのかもしれない。しかし、一番の理由はファッションの本当の目的に気づいたからだと思う。ひとつは、ファッションとは自分が自分らしくあるための表現方法であるということ。もうひとつは、それを着る私が出会う人に「あなたを尊敬していますよ。大切に思っていますよ。」とメッセージを送れるものだということ。つまり、自分と人とを大切にできる素敵な表現手段こそが、ファッションなのだ。


それを悟ってから洋服が好きになった。

さて、今年もそろそろパリへ飛ぶとしようか。


Be ambitious, boys and girls!


Be ambitious, dear friends.

現役英語講師の頭の中。